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Debian デベロッパーズリファレンス - Debian 開発者用ツールの概観
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Debian デベロッパーズリファレンス
章 11 - Debian 開発者用ツールの概観


この章では、開発者が利用できるツール群を大まかに説明します。 これらのツール群は、開発者の便宜を図り、 これらを使うことによって空いた時間をより重要な 作業にまわせるよう用意されています。

高レベルのパッケージ開発ツールの利用を好む人もいれば、好まない人もいます。 Debian では、この問題に関して公式な取り決めはありません。 つまり、どのツールを用いても作業を行なうことができるならば問題ありません。 そのため、この章は、どのツールを使うべきなのか、 開発に伴う作業にどのように取り組むべきなのか、 について規定するものではありません。 また、競合するツールの排除を避けるために、 特定のツールを推奨することもしません。

これらパッケージの説明文の大半は、 実際のパッケージ説明文そのものを参考にしたものです。 より詳細な情報は各パッケージのドキュメントをご覧ください。


11.1 dpkg-dev

dpkg-dev には、Debian ソースパッケージの展開、 構築、アップロードに必要となる (dpkg-source を含む) ツール群が収録されています。 これらのユーティリティ群は、パッケージの作成および操作に必要となる 基本的で低レベルな機能を提供します。 そのため、こちらはいずれの Debian 開発者にも必要となるものです。


11.2 lintian

lintian は Debian パッケージを精査し、 バグやポリシー違反を報告します。 lintian は、一般的なエラーのチェックとともに、 Debian ポリシーの多角的な自動チェックも行ないます。 lintian の使い方については、 アップロードの前にパッケージをチェックする, Section 6.2.3 および Lintian による報告, Section 10.5 ですでに説明してあります。


11.3 debhelper

debhelperは、 バイナリ Debian パッケージの構築に関連する 一般的な作業を自動化するために、 debian/rules で利用できるプログラム集です。 このプログラム集には、作成するパッケージへのさまざまなファイルのインストールや、 ファイルの圧縮、ファイルパーミッションの修正、作成するパッケージの Debian menu システムへの統合を行なうプログラム群が含まれています。

debmake とは異なり、debhelper は、 一貫した流儀で動作しながらも、小さく、 独立している多数のコマンド群から構成されています。 そのため、debhelperdebmake より細かな管理を行なうことができます。


11.4 debmake

debmake は、debhelper に先行して開発されたもので、より大まかなコマンドで debian/rules の補助を行なうものです debmake には主に二つのプログラムが含まれています。 一つは deb-make で、 こちらは、開発者が通常の (Debian 的ではない) ソースアーカイブを Debian ソースパッケージへ変換する補助をします。 もう一つは debstd で、 こちらは debhelper においては複数のコマンドによって 実現されている自動化された機能を一つにまとめたものです。

今では debhelper の利用が好まれ、 debmake の利用は避けようとの合意があります。 しかし、これは debmake のバグが問題であるから、というわけではありません。


11.5 yada

yada は若干異なる思想を持つ、 新たなパッケージング補助ツールです。 debian/packages ファイルを用いて、 debian/ サブディレクトリ以下に設置される 他の必要なファイルを自動生成します。

なお yada はまだまだ新しいものですので、 他のシステムに比べれば問題が残っている可能性があります。


11.6 equivs

equivs は、パッケージ作成用に 用意されているパッケージです。 equivs は、 単に依存関係を満たすためにパッケージを作成しなければならない場合などの、 ローカルな利用にしばしば推奨されているものです。 また、他パッケージに依存することのみを目的としたパッケージ ``meta-packages'' を作成する場合などにも利用されます。


11.7 cvs-buildpackage

cvs-buildpackage は、 Debian ソースパッケージの CVS リポジトリへの導入やインポート、 CVS リポジトリからの Debian パッケージの構築、 アップストリームにおける変更のリポジトリへの統合の補助 といった機能を提供します。

これらのユーティリティは、Debian 開発者による CVS の利用を容易にするインフラを提供します。 cvs-buildpackage を利用すれば、 stable や、unstable、場合によっては experimental といったディストリビューション向けに、 あるパッケージを独立した複数の CVS ブランチにて管理したり、 そのほかのバージョンコントロールシステムの恩恵を受けることができます


11.8 dupload

dupload は、 Debian パッケージを Debian アーカイブに自動アップロードしたり、 アップロードのログをとったり、 アップロードに関する電子メールを送信したりする、 スクリプトおよびパッケージです。 dupload では、新規アップロードを行なう先の場所や、 その方法を設定することも可能です。


11.9 fakeroot

fakeroot は root 権限をシミュレートします。 fakeroot を利用すれば、root にならずにパッケージを構築できます。 (各パッケージでは、通常 root の所有権でファイルがインストールされている必要があります。) fakeroot がインストールされていれば、 一般ユーザで、例えば dpkg-buildpackage -rfakeroot とすることができます。


11.10 devscripts

devscripts は、Debian パッケージ開発に役立つ ラッパーやツールを収録したパッケージです。 例えば、debian/changelog ファイルをコマンドラインから操作するための debchange や、dpkg-buildpackage のラッパーである debuild といったスクリプトが含まれています。


11.11 debget

debget は、Debian アーカイブからファイルをダウンロードする際に役立つ 便利なスクリプトを収録したパッケージです。 例えば、ソースパッケージのダウンロードにこちらを利用することができます。


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Debian デベロッパーズリファレンス

ver. 2.11, 2002年04月08日
Adam Di Carlo, current maintainer aph@debian.org
Christian Schwarz schwarz@debian.org
Ian Jackson ijackson@gnu.ai.mit.edu